“想い”と“頭脳”で稼ぐ 社会起業・実戦ガイド 「20円」で世界をつなぐ仕事
/ 日本能率協会マネジメントセンター / 日本能率協会マネジメントセンター / 小暮 真久 /
副題どおり起業・実践ガイドになってるのか?
達成目標、提携、組織、宣伝、成果の5Pを使い、マッキンゼー式に判断を下し、ビジネスを進めている点が、従来のボランティアの枠から事業へと変化しない他のNGOにとって見本となっているのだが、考えのベクトルを説明しているだけにしても説明不足の感がある。
現地での活動報告に紙幅が裂かれていない点も不満。
但し、発想自体は感心するし、日本の参加者が自身の健康のために寄付金付食を摂るだけではなく、これを入り口として食糧危機や南北格差などについても興味を持ち何か他のムーブメントに参加するようになれば素晴らしいとも感じた。
「実践ガイド」としている以上、後に続く者が実務的に参考書として使えるものでなければと考え、少し辛い点をつけてはいるものの、社員食堂だけでなくメジャーなコンビニ、ファーストフードなど、どこの外食産業やスーパーマーケットでも参加できるように、米のようにNGOを労働条件の良い職場に発展させるためにも著者には尽力を期待する。
NPOで飯が食えるか
私自身も誤解していたのは(NPOという名前が持つイメージの問題もありますが)
非営利団体でも上手く運営されればキチンと一般企業と同じくらいの給料が支給できるし、
また、してよいのだ、という点です。
ついつい自分のことは棚にあげて奉仕者には清廉潔白を求めてしまいますが、
そんな思考で見つめてしまっては、いつまで経っても世の中はよくなりません。
社会起業は素晴らしいですし、今後も活躍を期待される土壌は数多くあるでしょう。
ただし、この本を読んで社会起業家をすぐに目指すのは早計かもしれません。
この点は、著者も注意を呼び掛けていますが、社会企業の啓蒙と相まって
(読み方によっては)「社会起業の勧め」みたいにも読めてしまうような気がします。
「利益を出す」などの、避けて通れない組織としての原則を身に付けてから、
社会起業家を目指しても遅くはないでしょうね。
社会起業とは
よくわかった。
社会起業家。
国際協力に必要な資金(寄付)を集める独自の方法。
その仕組みを作って営業する。
完全な隙間ビジネスですが、目的が国際協力のファンデーションと明確。
その熱意に敬服します。
NPOこそ、ビジネスセンスが必要。
「社会企業家」という言葉にひかれて手に取りました。著書と同じく
30代半ばになり、お金のためだけでなく、仕事にやりがいを感じた
いと思うようになったためです。
前半は起業の苦労や起業までの著者の経歴。後半は「5P」というフ
レームワーク(さすが元マッキンゼー)を使った仕組み作りを解説し
ています。
「NPO事業の銀行への営業」「社食のない製薬会社への導入」など
具体的なエピソードを交えながら活動を語っており、一気に読み通せ
ます。
初めは「仕事を通した社会貢献できれば」という軽い気持ちで読み始
めましたが、「指示を待つ人間は社会企業家に向かない」という著者
の指摘や「パートナー企業へのアプローチ方法」などNPOこそ、高
度なビジネスセンスが必要と痛感しました。
凡人(!)としては、まずは著者のNPO事業が提供する食事をとる
ことから社会貢献を始めたいと思います。
TFTの仕組みは良く出来ている
貧困撲滅事業の多くは寄付金集めなど人間の善意に依存している。一方でTFTは先進国の過食の解消が途上国の飢餓の解消につながるよう設計されているため、個人の善意だけに依存していない。過体重を解消したいという願いと良いことをしたいという想いを利用した良く出来た仕組みだと感じた。
これまでの資本主義は「人より多くを手に入れたい」という気持ちを利用して発展してきたが、例えば食料を過剰に手に入れたところで人は幸せにはなれない。何事もほどほどが一番、という言葉が真実ならば、そのほどほど以上のものは単に供給過剰になってしまうだけなのである。
もしも多くの人がその事実に気づきつつあるならば、今後過剰の国から不足の国へさまざまなものを再配分する動きは強まっていくだろう。その成功の1つの条件はTFTのように過剰のデメリットを強調し、善意だけに依存しない仕組みを作ることだと思う。この本は再配分の方法論の非常にいい勉強になった。